九尺二間の山荘(旧ヴォーリズ山荘)
所在地 |
長野県軽井沢町 |
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構造規模 |
木造平屋建て |
延床面積 |
33m2 |
竣工年 |
1920年 |
九尺二間(くしゃくにけん)とは粗末な家を意味する言葉である。
今も続く生活雑誌「婦人之友」大正9年9月号に、この住宅が「文化的九尺二間 新しく生まれたヴォーリズさんの山荘」として紹介されている。
その題名の通り、およそ10坪の中に居間兼食堂、2段ベッドを備えた寝室、台所、効率的な収納、バスルームなどを備え、石積の暖炉など野趣味あふれる内装と、大きな窓から見える軽井沢の木立などが、簡素なつくりなこの小屋を信じられないほど豊かな空間としている。
ヴォーリズは大正13年8月号の「主婦の友」で、「簡単な別荘の設計と其の生活法」と題し、避暑地に大きな家より便利な家を、見せびらかすような建物より簡素な家をと述べ、自然の中で心身を休息させる価値を説いている。
九尺二間の山荘はその後、ヴォーリズから画家浮田克躬へと持ち主を移す。 著名な風景画家であった氏は、この山荘と軽井沢の風景をこよなく愛したという。
軽井沢にはこうしたヴォーリズの建物が、今も多く残っている。
撮影:福永貴之