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音楽家ヴォーリズ #6 音楽の感化
2006年4月5日
ヴォーリズは絵画とともに音楽が、生涯を決定する原動力、制し切れぬ迫力を持って建築界と外国伝道に駆り立てる作用になったと自叙伝の中で語っている。
彼が最初に出会った音楽は赤ん坊の時、従姉のカリー(Carrie)のピアノであった。 彼は音楽のとりこになり従姉がピアノを弾く横にさえ座らせておけばご機嫌な赤ん坊であったらしい。 それはメンデルスゾーンやブラームスの曲であった。
当時、一般人にとって一番身近な音楽は教会で演奏されるオルガンや賛美歌である。
ヴォーリズが初めて教会に連れていかれたのはまだ4歳の頃、生まれてはじめて聴いたパイプオルガンと聖歌隊の合唱に、歌詞の内容などは全くわからなかったが感動を覚え、それ以来、音楽が神聖な言語になったと語っている。
音楽家になることを夢見た彼は、12歳を過ぎた頃ピアノを弾きはじめるが、どうやら練習などは苦手な少年であったらしい。 しかし楽譜が読めるようになると即興でピアノを楽しみ、コツコツと賛美歌を弾きはじめた。
それから数年の内に彼は、俸給を貰って学校のオルガニストをしたり教会で伴奏を任せられる少年になっていた。 そしてその時の経験が偶然を生み、大学に入った彼は朝の礼拝において教師からオルガニストを任されことになる。 大学のチャペルで使われていたのはパイプオルガンであった。 長年パイプオルガンの演奏を夢見ていた彼は、鍵を渡され自由に使うことが許されると、多くの時間と精力をパイプオルガンにそそいだ。
後に彼は、練習にそそいだ時間を勉強に使えば優等卒業生に授けられる記章が貰えたかもしれない、しかしもう一度あの時間に戻っても、やはりパイプオルガンの鍵を選ぶだろうと語っている。
・・・つづく